5月末の休日のことでした。
自宅の中庭でお茶をしていて、ふとわが家のシンポルツリー(ヤマボウシ)を 見上げると、
地上2m20cmほどの、枝が四方向に分かれている辺りに、鳥の巣らしきモノが…。
中身が入っている様子もないし、天然物の鳥の巣を間近で見る機会はなかなかないので、
さっそく脚立を持ってきて中を見てみると…何もない。
鳥の生態に詳しいわけでも何でもないので、時期的にそれが使用前なのか使用済みなのかも不明で。
それから毎日気をつけていると、私が発見した段階で、どうやら巣は建設中だったようで、
全身を灰色と茶色に覆われた、尾の長い鳥が、建設部材らしきいろいろなモノを運んできては、
また忙しそうに飛び立ってゆく姿を目撃。
近くで見てみると、ビニールの切れ端とかも混じっていて、面白い。
それからさらに2日ほど経ち、巣は完成したかなと思って見ると、なんと家主様が。
ご主人なのか奥様なのかはわかりませんが、ジッとしています。
もしや卵を産んじゃったりしてるのか…?
そう思って、家主様がいない時を狙って、巣の中を2階の窓から撮影してみた。
すると…。
おぉ、卵が!!!!
この時点では2個でしたが、後にさらに2個が追加され、合計4個に。
この日から、家主様の戦いが始まりました。
文字通り、雨の日も風の日も、温め続けます。
ネットで調べてみたところ、雄と雌が交互で温める らしいので、よく観察してみると、 確かに2羽いる。
多少だけれど、大きさが違うことも確認できました。
片方が温めている時、片方は食事に出ているようようだけれど、たまに、自由になっている方が、
温めている方を誘いに来て、2羽でお出かけすることもありました。
そして、卵を初めて確認してから2週間弱。
なかなか孵化しないので心配していましたが、夜仕事から帰って2階から 懐中電灯で照らしてみると、
親鳥はおらず、何やら黒っぽいモノが巣に詰まっている。
もしかしたら、生まれた!?と思い、朝になってから中を覗くと…。
誕生してました!!!!
しかも4羽とも孵化しています。
可愛い!!
…というより、正直ちょっとグロい感じですが…。
素で感動しました。
さて、ここからが、驚くほどの展開です。
成長が、ものすごく早い!!
生まれて5日で、すでにこんな感じ。
身体と羽の色が、だんだん鳥っぽく…というか、ヒヨドリっぽくなっていきます。
まあ、この状態だと、どこが頭でどこがお尻かもわかりませんが…。
で、その2日後。
かなり「鳥だな」って感じまで成長。
でも、まだ目は開いていない。
親鳥は交互にエサを運んできては、ガンガン雛の口に押し込んでいきます。
これがホントに押し込むって感じで…。
「そんなの無理矢理押し込んだら 窒息するって!!」と、思わずツッコミを入れてしまうくらいの
大きな虫も食べさせます。
ものすごく動くため、そろそろ巣から落ちるのが心配になり、巣の下に落下防止のネットを張ってみたが、
2日後に確認すると、雛が1羽足りない。
根元に植えてあるアイビーの茂みの奥まで探してみたが、見当たらない…。
多分、親鳥が不在の時に、カラスか何かに拉致されてしまったのだろうが、かなり凹みました。
孵化してしばらくすると、どうやら親鳥は夜間は小鳥たちを置いて、夫婦で自分たちが暮らす巣に戻ってしまうらしい。
で、これがその5日後。
カワイイ。可愛すぎる。
もうすっかり小鳥って感じに成長しました。
卵を発見して、約1カ月。
いよいよ、巣立ちの時を迎えました。
その日は、たまたま土日で仕事は休み。
朝から親鳥も小鳥も騒がしくしていました。
見ていると、親鳥が屋根の上から小鳥に向かって何か言っている。
「さあ飛べ、ほら飛べ」って感じ。
小鳥たちは、巣の縁にヨタヨタと這い上がり少し羽を動かしたりするが、飛ぶ様子はナシ…。
親鳥も一旦諦めたようで、夫婦でエサ捕りに行ったようでした。
で、午後。
気がつくと親鳥が、午前中と同じような行動を始めた。
3羽の中では一番大きな子が、羽ばたきを始めると、躊躇せず一気にジャンプして、
わが家の南側を覆っているルーバーを飛び越え、親鳥が待つ電線までたどり着きました。
真剣に見つめてしまったため、この瞬間の感動的な写真は、まったくございませんが…。
その後、親鳥と一緒に飛び立ってしまいましたが、あれはどこに行ったのだろう。
さてさて、残るは2羽です。
片方は、たまに羽ばたきの練習などしているので、巣立ち間近って感じでしたが、
一番身体の小さい、向かって左側の子は、ジッと…というか、ボーっとしていて心配…。
何度か「おまえ、大丈夫か?」と聞いてしまったほどです。
案の定、しばらくすると大丈夫そうな子は、1羽目と同じように飛び立ち、無事に親鳥と合流。
見えなくなっていきました。
ボーッとしている方は、何度か飛び立とうとしましたが、数センチ先の枝に移ったり、
ルーバーの壁面にしがみついたり、ウッドデッキでピーピー鳴くだけで、ちゃんと飛ぶ様子ナシ…。
そのまま動けなくなること数回。
すべて私が手で 、巣の近くに戻しました…。
結局この日はこんな感じで日が暮れてしまい、この子は落ちこぼれたようで…。
親鳥も巣に帰ってしまいました。
翌日の日曜日、寝る前に確認した時はネットで寝ていたのに、中庭の隅々まで探してもいない…。
私が寝ている間に行っちゃったか…。
良かったけど、なんだか寂しい…。
家の中に入ろうとして、ふと、こまち(柴犬)用のシャンプースペースを見ると…。
いました。
キョトンとした表情で^^
このあと、また木に戻したのですが、親鳥が迎えに来ても目を閉じて寝てたりして、まったく行く気ナシ…。
「どうすうつもりだ、おまえ」と聞いても、あの目でジッとこちらを見るばかり。
そんなこんなで夕方になってしまい、今日も居残りなのか…と思っていたら、玄関で母が転倒し、
背骨を圧迫骨折するという緊急事態が勃発。
救急病院を探して、緊急入院させたりして、バタバタしてしまい、自宅に戻れたのは夜20時過ぎでした。
居残りのチビはというと…。
まだいると思い込んでいたのですが、どこにもいない。
懐中電灯で、かなり探したのですが、見当たりません。
鳴き声もナシ。
どうやら、私の留守中に頑張ったらしい。
翌日の朝、10分ほどかけて探しましたが、やはりいない。
飛び立つ姿を見られなかったのは残念でしたが、やはり親鳥と一緒に行けたのなら良かった。
調べてみると、この後、海を越えて北海道の方まで行くらしい。
しかも、移動中は猛禽類に襲われたりするため、海面すれすれを飛んでいくらしい。
あのチビが、そんな過酷な旅に耐えられるのかとても心配ですが、きっと大丈夫と信じるしかない。
がんばれよ~!!
今日現在、ネットは外してしまいましたが、巣はそのままにしてあります。
植木屋さんがヤマボウシの手入れに来るまでは、このままにしたいなと。
ヒヨドリって、また戻ってくるのかな~。
時間があるときに、調べてみることにします^^
(え)