2月に入ってから、立川派の2人の落語会に相次いで行ってきました。
まず1日に行ったのが、『志の輔らくご in PARCO 2011』。
恒例となった立川志の輔師匠のパルコ劇場1ヶ月公演の千秋楽です。
今年の演目は、「だくだく」「ガラガラ」と、新作の「大河への道」。
「だくだく」は過去に何回か聴きましたし、
「ガラガラ」も以前にパルコで聴き、DVDも持っているのでなじみの演目です。
今年の圧巻は、なんと言っても「大河への道」。
長講70分強、枕も入れたら90分を越す大作でした。 内容は、日本で最初に全国の地図をつくった伊能忠敬の話。
なんでも志の輔さんが4年ぐらい前からずっと構想にあったものらしく、
3年目にしてようやくカタチになったものだそうです。
志の輔さんが伊能忠敬のことを話にしようと思ったのは、
千葉県佐原市の伊能忠敬記念館で、
彼がつくった地図と衛星から撮った画像が
わずかしかずれていないことに驚愕したからだということ。
実は僕も10年ぐらい前に同所を訪れて、その地図を見て同じように思い、
しかも、それが商人を引退した50歳を過ぎてからの仕事だったと知り、
さらに驚いたということもあったので
(しかも僕の住む深川にゆかりの深い人ということもあって)、
今回の話にはより共感と大きな感動を覚えました。
それにしても、いつもながら長時間の話をだれることなく、
観客を惹き込んで聴かせてしまう志の輔さんの実力には感心します。
あともうひとつの落語会は、週末の5日に行った、
志の輔さんの弟弟子にあたる談春さんの独演会。
今回の相撲騒動に絡めて、
幕末に実在した横綱、阿武松に取材した一席「阿武松(おうのまつ)」と、
初午にちなんで、噺の中にちらっとそれが出てくる、
おなじみの「明烏(あけがらす)」の2席を披露してくれました。
「阿武松」の方は、談春さんとしては滅多にやらないものらしく、
「とちったらごめんなさい」と謙遜していましたが、
もちろんそんなことはなく、楽しませてくれました。
そして、「明烏」はいろいろな落語家さんのを聴いていて、
談春さんのも何度も聴いていますが(CDにもなっていますし)、
談春さんのは元気がよくて、聴くたびにちょっとずつ違っていて、
この日も最高に気分よくしてくれて席を立ちました。
暗いニュースが多く、景気も一向に良くならない中、
やっぱり落語を聴くと、ハッピーな気分になれるからいいですね。
これだから、落語会通いはやめられません。(ひ)
深川の富岡八幡宮にある伊能忠敬像。彼は測量の旅に出かける前に、いつも(10回中8回)ここのお宮に参って旅の無事を願ってから江戸を後にしたそうです。